価値観に基づいた日米同盟
- 悠樹 阿部

- 2019年1月6日
- 読了時間: 3分
更新日:2021年9月12日
12月16日、市ヶ谷のグラウンドヒルホテル「白樺の間」において、リバタリアンの活動家、渡瀬裕哉氏が主催するJapan-US Innovation Summitが開催された。
渡瀬氏と彼の盟友であるグローバー・ノーキスト氏らは、10時から18時まで倦むことなく講演と討論を行われ、日本の代議士と学者も参加した。
そのうちの一つのセッションにおいて、ノーキスト氏と長島昭久代議士が「保守主義と古典的リベラリズムの価値に基づく日米同盟」をテーマに討論された。
討論を聴きつつ、この「価値観に基づく日米同盟」を実現するためには、日本人が自由と人権の価値に真摯に向き合うことが肝要であると考えるに至った。その結論に至った過程を以下に記す。
なお、本稿はこのテーマについての私自身の見解であり、ノーキスト氏および長島代議士とは無関係であることを断っておく。
安倍晋三首相は、自由、人権、民主主義の普遍的な理念に立脚する「価値観外交」を提唱し、それを実行しているかのように(彼の味方からも敵からも)思われている。しかし、近年ではこの高邁な理想も有名無実化してしまったように見える。
たとえば、ロシア政府による亡命者、民主派、政敵の暗殺、グルジアとウクライナへの侵攻など、日本政府は対岸の火事であるかのように、平和条約締結の交渉を進めている。イギリスで亡命ロシア人が暗殺されたことをきっかけに、欧米諸国がロシアの外交官を退去させた際にも、日本は同調しなかった。ロシアの暗部に目を瞑り、「友好」を演出すれば、北方領土を二島でも返還してもらえないだろうか、と期待しているようだ。
また、中国政府による少数民族の民族浄化の実態が明るみになり(例えば、今年8月には国連の人種差別撤廃委員会が、遅まきながらウイグル人収容所の問題を取り上げた)、米国政府も「関与政策」から対決姿勢に転換した後になって、安倍首相は習近平国家主席と会談し、第三国における経済協力に合意するなどした。
抑圧者に対するバンドワゴン、国外における人道問題の軽視は、今に始まったことではない。日本政府の外交は、世界を自由と民主主義にとって安全な場所にするよりも、抑圧者と宥和することによって、「我々の時代の平和」を贖うべく努めることを基調としてきた。
朝鮮の開明派の政治家、金玉均が祖国で迫害を受け日本に亡命したとき、山縣有朋内務大臣は彼に国外退去を命じた。朝鮮の守旧派の政府とその宗主国である清の機嫌を損ねるのを恐れたためだ。
同様に、インド、インドシナの独立活動家を宗主国のイギリス、フランスに引き渡そうとしたこともある。
天安門事件で中国共産党が批判の矢面に立たされた際、宮沢喜一首相は、中国との関係が人権という抽象的な概念に左右されるべきではない、と述べた。そして、天皇皇后両陛下を訪中させ、虐殺者の政権に対してモラル・サポートを与えたのである。
これらはすべて、外国政府との如何なる摩擦をも回避することによって、「安全」を贖おうとする意図から生じている。被抑圧者の苦難から目を背け、抑圧者の機嫌をとり結ぶことが、「現実的」な方策として是認される。
米国は、ペンス副大統領のハドソン研究所における画期的な演説を契機として、相互依存論と「関与政策」の迷蒙から覚めた。
「価値観に基づいた日米の同盟」は、日本が不誠実な同盟国であることをやめ、自由と人権の価値に真摯に向き合うときにはじめて実現するだろう。




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